機械が俳優に代わる?

(00:49:32以降カット)(00:50:46から)

Q:コンピューター化している現在、機械が俳優に代わって演技をしたりしていますが、

その発展に伴い芸術家の役割はどうなっていくと考えますか。

A:答えになるかはわかりませんが、私が『将来、どのような事が起こる』と考えているかお話しします。

私の考えでは、将来、芸術家がイマジネーションの力を借りて意識の中で絵を描き、それを周りの人間が実際に目で見られるようになる日が来ると思っています。つまり下書きも何も必要なく、アーティストが見たものがそのまま直接空間に映し出され、それを人々が鑑賞するという世界です。セリフなども思考を通して空間に映し出されますし、アーティストの内部で聴こえている音楽も表に響くでしょう。現在でも芸術家が家で一人で創造する時、自分の中で音楽が聞こえたり、登場人物の声が聞こえたり、絵が見えてきたりします。つまりそれは創造活動においてはごく自然なプロセスです。未来は、単にこのプロセスが空間に映し出され人々が観られるようになる、そう思うのです。しかも、照明などの技術的、補助的な要素なしで実現するでしょう。

例えば、10人の芸術家が集まって同時に内面を映し出すのです。

一人は自分の中の戯曲を映し出し、一人は音楽を、一人はまだ違うものを加える、という風にです。

Q:観客はどのようにそれを観るのでしょう?

A:空間に、言ってみれば『ホログラム』が映し出されるのですから、観客はどこにいても構わないでしょう。真ん中でも両側からでも好きなところから参加できるわけです。

これは100年、200年後には実現可能だと確信しています。

ただ、一番大切な事は、『人間の創造』は機械の進化より常に先を行き、成長し続けますので、どんな優れたコンピューターもそれに代わる事はあり得ません。コンピューターには創造活動は出来ないのです。

20年30年前から研究者たちは躍起になってロボットを開発し芸術をやらせたり将棋をやらせたりしていますが、これは人間の意識の可能性には比べ物にならない事です。人間の意識というのは何万年も前に自然が創ったものですので、コンピューターと比べるのは不可能です。なぜかと言えばこの太陽系もこの惑星に「進化」の過程にあります。全ては一つの法則の元に発展していて、私たち人間はその中の小さな一部です。私たちは、その法則を注意深く観察し理解する必要があり、何か余計な物を勝手に思いつきで作り出したりしてはいけないのです。その意味で、私たち人間が「小宇宙」と呼ばれるのは偶然ではありませんね。私たちはこの大宇宙と同じように複雑に出来ています。その意味でも人間をコンピューターとは比べられない訳です。